【鑑賞記録】新たな道を見つけられたのか?『ジュラシック・ワールド 炎の王国』
『ジュラシック・ワールド 炎の王国』
友達とのご飯の後、深夜12時半のレイトショーで観てきました。
品川の映画館なので普段のレイトショーでは会社帰りの勤め人が多いけど、大学生くらいの人たちもちらほら。
シリーズの第一作である『ジュラシック・パーク』に度肝を抜かれた映画少年はたぶん世界中にいっぱいいるのだろう。自分もその一人。
監督のスティーブン・スピルバーグは気のいいおじいさんに見えるけど、夢とおんなじくらいトラウマを全世界に広げたのではないだろうか。サメ映画の(というかすべての映画の)金字塔『ジョーズ』の影響で大人になった今も海で泳ぐことにものすごく恐怖感がある。
『ジュラシック・パーク』も夢あふれる恐竜との触れ合い&なかなかのトラウマ描写がいっぱい。
3の失敗で色々言われたこのシリーズも第4作目の『ジュラシック・ワールド』で見事に息を吹き返した。
今回の『ジュラシック・ワールド 炎の王国』は『ジュラシックシリーズ』の第5作目という位置づけ。
生命倫理などいろんなテーマで語られることの多いシリーズながら、基本的には「俺たちが観たい、観たことない映像」を見せてくれればそれで充分と思っています。
前回の『ジュラシック・ワールド』で、心温まる恐竜との交流を描いたあとに悪意たっぷりの「オーバーキルベビーシッター」描写をはじめ、痺れる画が満載。
さらに物語の中心に、みんな大好きクリス・プラットを配置したことで物凄くバランスの取れたシンプルなアクション映画に仕上がっていた。
新三部作の2作目にあたる今回の『炎の王国』ではそのバランスの良さをあえて崩しにいって、そこで評価が割れている様子。
今回は前回のアクション映画要素を抑えつつ思いっきりホラー映画に寄せている。予告編では舞台は同じで前回の延長線上の脱出劇になるのかと思いきや、アクション要素全開の脱出劇はわりと前半でさくっと終わり、後半は屋敷を舞台にしたホラー映画へとまったくテイストが変わっていた。
前半と後半でガラッと舞台がかわるのは第二作の『ロスト・ワールド』でやっていたけど、ジャンルまで変えるのにはびっくりした。
後半はまるで、おとぎ話のようだった。
このおとぎ話パート、たしかによく作られているし新しい映像表現も色々見られてここだけ観れば楽しいのだけれど、前半の島からの脱出シーンからの移行にうまくいっていない印象を受ける。
後半で話の中心になる少女を紹介するために、前半の脱出パートで時々、少女の話が挟み込まれるのだけど問題も緊急度も場所も全く違う話を交互に見せられるため微妙にテンポが気持ち悪い。
後半も結構な大問題が起こっているのにわりと少女と新登場の遺伝子操作恐竜のテーマありきで話が進むのでアクションのハラハラドキドキが結構な頻度で停滞する。そして、わりとお決まりの悪者描写と悪い癖にだいぶ頭が悪い敵の行動にイライラしてしまう。
後半の舞台を屋敷に絞ったのはいいとして関係者含めて微妙にスケール感が小さくなってしまってみたことのない広大な世界が広がるはずのジュラシックシリーズと喰い合わせが悪いというところもありそう。
そしてこのテーマってわりと似たようなこと前作でやりませんでしたっけ?という疑問が湧く。
前作のジュラシック・ワールドを観てファンになった人にとっては違うものを見せられたと思ってしまうかも(観たいものと違うものを見せてくれること自体はまったく悪くない)
個人的には悪意全開で悪いやつを徹底的にこらしめる(もはやそういうレベルじゃないけど)描写だったり、ラプトル(ブルー)との交流だったり、火山で崩壊する島の超弩級の脱出劇だったり充分満足。
次作(新三部作の最後)で今回のラストを回収するのだろうけど、なんだかんだで普通の生物である恐竜が人類を脅かせるとは思えない。「共存の道を探る~」という展開も割とありきたりな気がするので、どう決着をつけるのか期待している
ラストでちらっと映る脱走して各地に散って行った恐竜。ビーチを襲うモササウルスがとか感動のあまり泣いてしまう描写があったけど、もうすぐもっとでかいサメがビーチを襲う映画が公開されるんだよなぁ。。。。