【舞台】ひとごと。vol.2『そこに立つ』@スタジオ空洞
スタッフとして参加している知り合いから勧められ観劇。
明確に物語の筋があるわけではなく、ダンスとも違うジャンルで自分は普段あまり接することのない毛色の作品だった。
5人の俳優が電車・駅での人間を再現する60分。
(稽古場写真:ステージナタリーより)
当日パンフレットに書かれている演出ノートにもある通り「暴力性」についての作品。
特に混雑している電車の中では無自覚な身体的接触に宿る暴力。
確かに、自分のことを思い返しても満員電車の中では身体の感覚みたいなもののスイッチを切っている自覚がある。
自分の周囲に密度高く大勢の目的の違う人間が存在しているって本当は凄くストレスなはずだけれどそれに感覚のスイッチを切って無理やり自分を適合させている。
感覚のスイッチの切れた人間を舞台の上に載せるという試みで、とても怖かった。
人と人が接触する(ぶつかる)ことを客観的に観ること、目的のない会話を聴くこと、普段何気なく自分も行っているであろう行為の持つ不気味さが舞台に載せられることでより明確になっていた。
特に、無意識になった身体の不気味さ(稽古でそう見えるように訓練されているのだけれど)は圧倒的。
この無意識はストレスがかかっているからこその無意識なので、リラックスされている状態とは違い、世界のどこにもつながっていない。
ただ、そこにスイッチを切った人間の身体があるだけの怖さをひしひしと感じる。
リアルなマイムを行うわけではなく、そこにある身体の状態を想起させ、場が持つ姿を暴き出す稀有な作品でした。
次の公演も追いかけていきたい。
団体情報(note)
演出の山下さんのメモも面白い