【鑑賞記録】『勝手にふるえてろ』
【ストーリー】
OLのヨシカは同期の「ニ」からの突然の告白に「人生で初めて告られた!」とテンションがあがるが、「ニ」との関係にいまいち乗り切れず、中学時代から同級生の「イチ」への思いもいまだに引きずり続けていた。一方的な脳内の片思いとリアルな恋愛の同時進行に、恋愛ド素人のヨシカは「私には彼氏が2人いる」と彼女なりに頭を悩ませていた。そんな中で「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこう」という奇妙な動機から、ありえない嘘をついて同窓会を計画。やがてヨシカとイチの再会の日が訪れるが……(映画ドットコムより:http://eiga.com/movie/86705/)
まさか、24歳OLの話に感情移入する日が来るとは。。。
前評判の高さを知っておきながら公開から観るまで一か月もかかってしまった。行きたいと思ったタイミングでことごとく売り切れが続いていた、後悔から一か月たっていても劇場は満員で前日予約でも残り座席が少なかったほど。場内のいろんなところから笑い声が起きていて、本当にいい雰囲気の劇場空間でした。
まず松岡茉優の圧倒的な存在感。どこにでもいそうな女性に見えつつ、観ているこちら側を「ハッとさせる」瞬間だらけ。上映時間中泣いたり怒ったり笑ったり、何とも言えない感情に支配されたり、観終わったときには完全に「ヨシカは私であり、私はヨシカである」状態。
日常空間と妄想空間を行き来する演出が小劇場のような演出でありながら映画である強みを生かしていたのも好評化ポイント。セリフとシーンのつなぎカットの編集が抜群に上手くて、違和感なくヨシカの感情に乗って行けた。カットが変わっても感情の流れが全く途切れない。
人生の一時期、なにか自分以外の存在に寄りかかることで生きていける時期がたしかにあって(自分はまだ抜け出せずにいる)、そこを突き放すのでも甘やかすのでもなく本当に優しく厳しく描いてくれている。人と関わること、人に寄りかかること、寄りかかられること、それができるようになるまでこんなにかっこ悪い過程を経なければいけない辛さを描いているのに、「かっこ悪くてもいいじゃん」と言ってもらえた気がした。
年始から人間関係で色々あって結構しんどいかったけど、この時期にこの映画に出会えて本当に良かった。自分の人生にとって大事な一本になりました。
【関連リンク】
・『勝手にふるえてろ』 ぎこちない男女の、かけがえのない瞬間
文春オンライン