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【観劇記録】猟奇殺人と女子高生と。 『ツヤマジケン』(日本のラジオ)

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「日本のラジオ」は「さわやかな惨劇」を掲げる劇団。

 

観劇のきっかけは知り合いが出演していることと、主催の屋代さんの演出をとあるワークショップで拝見して作風に興味を持ったこと。

ワークショップの中ででた「すべての戯曲を暗く演出したい」との宣言(早々に撤回されたりもしますが)に痺れて、彼の作る作品を是非観たいと全ての仕事をほっぽり出してこまばアゴラに向かいました。

 

今回上演された『ツヤマジケン』は初演は2014年に上演され、佐藤佐吉演劇賞2014にて最優秀脚本賞・優秀作品賞・優秀助演女優賞を受賞するなど評判が高く、今回4年ぶりの再演となった。実際に起きた津山事件を下敷きにしつつ、とある女子校の演劇部の合宿で起きる惨劇を描いた作品。

 

女子高生が多数(10人)出てくるにもかかわらず、華やかな雰囲気は一切なし。終始、咳をするのもためらわれるほどの緊張感が舞台上を漂うにも関わらず要所要所で笑いが起きるという不思議な空間。

 

舞台上には平台や照明機材が雑然と置かれている。照明の変化はほとんどなく、音響もなし。蛍光灯のようなのっぺりした明かりが居心地の悪さを増す。

 

10人の女優陣による、誰が一番嫌われるかコンテストでもやっているのかと思うほど嫌な奴ばっかり。セリフはもちろん仕草ひとつひとつに神経を逆撫でされて絶妙にイラっとさせられる(褒めてます)。男性陣は津山事件で有名な、頭に懐中電灯に日本刀と猟銃を持った異様な格好が現在の小劇場界で一番似合うであろう安東さん(失礼)を始め、こちらも最低で最高。

 

俳優の配置や体の使い方といった演出で、もっと見やすくなったかもしれないけど多分そこには興味がないと思うのでそこは無視。

 

とにかく登場人物ひとりひとり合計13人の嫌なところを徹底的に描いた屋代さんの手腕に脱帽。当日パンフレットにも載っている津山事件を起こした犯人の遺書の抜粋「今度は強い強い人に生まれてこよう、今度は幸福に生まれてこよう」猟奇殺人を起こすわけでもないけれど、どうしようもない現実に対する諦めと怒りが胸をうつ。

 

あと、何よりも素晴らしいのは平日夜の回が20時開演というところ。こまばアゴラという劇場は最寄駅が駒場東大前という絶妙に時間がかかる点を差し引いても会社勤めの身からすると時間の余裕があってありがたい。

たまに他の舞台で19時開演とかあると就業直後に仕事で何かあるともうほぼアウト。

やる方は大変だろうし、上演時間が120分とかだと難しいのかもしれないけど(『ツヤマジケン』は90分ちょっと)他の劇団も取り入れてほしい平日20時開演。

 

ド派手なことをやらなくても最小限の装置と役者と演出・脚本の力でいくらでも面白く・配慮の行き届いた公演ができることを証明した『ツヤマジケン』。根拠はないけどたぶん、また再演されるんだろうという気がしている。最低すぎて最高の観劇体験でした。

 

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舞台写真 公式Twitterより



 

 

日本のラジオ公式web 

日本のラジオ

 

公演概要(公式webより抜粋)

「ツヤマジケン」

2018年6月5日(火)~10日(日)
こまばアゴラ劇場

※※※

今度は強い強い人に生まれてこよう、今度は幸福に生まれてこよう。

日本猟奇事件史のトップランナー
津山三十人殺し」を借景に
女子高演劇部の夏合宿を舞台にして、
少女たちの友情、鬱屈、愛、純真を
沈鬱かつユーモラスな世界観で描いた
佐藤佐吉演劇賞最優秀脚本賞受賞の
「さわやかな惨劇」再び

※※※

【作・演出】
屋代秀樹

【キャスト】
安東信助(日本のラジオ)
田中渚(日本のラジオ)

赤猫座ちこ(牡丹茶房)
久保瑠衣香(W.FOXX)
沈ゆうこ(アガリスクエンターテイメント)
瀬戸ゆりか
鶴田理紗(白昼夢)
土橋美月
永田佑衣
藤本紗也香
古田希美恵

大塚尚吾
野田慈伸(桃尻犬)

 

【上演時間】
90分予定

【上演スケジュール】

6月05日(火)20時開演☆
6月06日(水)20時開演☆
6月07日(木)14時開演☆/20時開演
6月08日(金)20時開演
6月09日(土)14時開演/18時開演
6月10日(日)14時開演/18時開演