【観劇記録】老人は天使ではない 『ワレワレのモロモロ』さいたまゴールド・シアター特別公演
岩井秀人さんが構成・演出を担当されたさいたまゴールド・シアター特別公演『ワレワレのモロモロ』に行ってきました。
『ワレワレのモロモロ』は出演者自身に起きたできごとを、本人が台本化し演じるというシリーズ。これまで
さいたまゴールド・シアターは蜷川幸雄さんが2006年に設立した55歳以上の劇団員からなる演劇集団です。その名前を聞いてはいたものの観るのは今回が初めて。
岩井秀人さんのファンなので観に行ったのですが、岩井さんの作品という感じはほとんどしなくて、どうしようもないほど俳優の人生が濃厚にあふれでて舞台上を埋め尽くす、そんな舞台でした。
基本的にそれぞれの役者が書いたり、語ったものを構成したりした短編集。
舞台上の全員が70歳以上だけということもあり、さすがに技術的(というか身体的に)にちょっと厳しい場面がある。ただ、そういったものもすべて舞台上に載せることで「演じる・表現する」ということに対する渇望が溢れていた。
「老人は天使ではない」とはこの集団を設立した蜷川さんの言葉。
若い俳優のように舞台上を駆け回ることはできないかもしれないけど、それでも積み重ねた人生を表現したいという思いがひしひしと伝わってくる。
「表現したいという欲望」がこんなに濃厚な舞台を観たことがない。
舞台芸術というものは俳優の体を無視することはできない、という当たり前のことを強く意識させられた2時間。
年を取ったから聖人君子になるわけではないけれど、聖人君子でなくても、かっこよくあることができることを見せつけられました