何も起こらないのにドラマチック『粛々と運針』(iaku 演劇作品集)(鑑賞記録)
粛々と運針
iakuは大阪を中心に活動する劇作家・演出家の横山拓也さんが立ち上げた演劇ユニット。全国各地で公演を行うなど活動地域が広い。大人の鑑賞に耐え得るエンタテイメントを掲げている。
名前はずっと前から聞いていたけど、観に行く機会がなく今回やっと行けました。
とはいえ、今回は演劇作品集という建てつけで4本上映のうちの1本、『粛々と運針』に行けただけ。『粛々と運針』は札幌公演も決まっている。
舞台装置は極めて簡素で椅子のみ。3つの物語が舞台上にあり、それぞれの差は照明で表される。
物語はそれぞれ「母親の体調が思わしくない40歳近くの兄弟の会話」「妊娠したかもしれない30代後半の夫婦」「素性はわからない年齢不詳の女性ふたり」の3つ。
いわゆる会話劇で派手な展開はない。問題は幕があがる前からそこにあって、解決もなにもせずにずっとそこにある。ただ、問題に対するそれぞれの葛藤が垣間見えるだけ。それがめっぽう面白い。
舞台上で扱われるのはおそらく30歳を過ぎたあたりから誰もが直面せざるをえない問題なので特段の真新しさはないし、突飛な意見が出るわけでもない。それなのに面白い。
人間の葛藤を丁寧に描くだけで十分ドラマチックであることを証明するような舞台。
何も起こらないけどドラマチック。
この演目は札幌のほか、9月に相模大野で公演があるなどたぶんこれからもずっと再演が続けられる作品。
大学生の時に見ていたらもしかしたら、何が面白いのか全くわからなかったかもしれない。
年齢を重ねるとまた見え方が変わりそう。10年後に挑戦したい。
【iaku公式web】
www.yokoyama-iaku.com/index.html
【作品情報】
「粛々と運針」
作・演出/横山拓也
出演/尾方宣久(MONO)、近藤フク(ペンギンプルペイルパイルズ)、市原文太郎、
伊藤えりこ(Aripe)、佐藤幸子(mizhen)、橋爪未萠里(劇団赤鬼)
来週(5/27ー6/2)の予定
来週(5/27ー6/2)の予定
雑に来週やろうとしている事を書いておきます。
映画
1;『アイ・トーにゃ 史上最大のスキャンダル』
2;『私はあなたの二グロではない』
3;『29歳問題』
4;『デッドプール2』
5;『港町』
本
1;『デジタルマーケティングの教科書』
2;『コンテンツマーケティングの教科書』
3;『下り坂をそろそろ下る(平田オリザ)(5回目くらい)』
4;『さよならニルヴァーナ(窪美澄)』
5;『データサイエンス入門』
6;『日本の気配(武田砂鉄)』
これまであんまり触れることがすくなかったデジタルマーケティングを仕事でやることが多くなったので、マーケティングを全体的に学び直し。
もうすぐボーナスが入ると投資金額が大台を超えるので、基礎を忘れないために水瀬さんの本を復習。
映画は人からオススメされた映画と想田監督の新作が公開される前にまだ観ていない『港町』を観ておきたい。
仕事が残業だらけになるのは目に見えているけど、これくらいは観る・読んでおきたいので逃げないよう宣言しておきます。
楽曲は最高なんだけど・・・『グレイテスト・ショーマン』(鑑賞記録)
ずっと見逃していて、もう配信もはじまりブルーレイもリリースされたタイミングだけれどまだ映画館でやっていたので観てきました。
楽曲は最高だけど言いたいことが色々残る映画だけど最高なんだけど、、、というぐるぐるした感情が残りました。
実在の人物であるサーカスを設立したことでも有名なP.T バーナムの半生を描いたミュージカル映画。
楽曲に関しては“This is Me”を始め、力強いリズムに裏打ちされた素晴らしいものが揃っている。ミュージカルシーンはせっかく映画でやるんだから下手に長回しとかはやらなくていいと思っているのでこの作品の細かく切って魅せるところはしっかり見せるというやり方は大好き。
みんな大好きヒュー・ジャックマンが歌って踊っているだけで幸せでした。
一方で、ストーリーは結構ダイジェスト感が強くて早足でバーナムの生涯をさらっとなぞった感が強い。肝心のバーナムもわりとトントン拍子にいくし、結構周りを傷つけているのにさくっと許されている。
実在の人物がモデルなんだからしょうがないとはいえ、登場人物もう少し絞って一人一人にスポットライト当てられないものかと。
全員が映画の核になれているようでなれていない、楽曲の力強さに負けている。
ひとつで一本の映画を作るに足るテーマがてんこ盛りだったから最終的にぼやけてしまって各ミュージカルシーンの素晴らしさが活かしきれなかったのが残念。
とはいえ、ミュージカルシーンは映画館で観るべき名シーンだらけなのでまだぎりぎりやっている映画館がある今のうちに観ることをオススメします!
本編後に流れるメイキング映像 鳥肌がたった
新しいのに懐かしい暴力映画『孤狼の血』(鑑賞記録)
残業で遅くなってふらっと映画館によったらちょうどよく上映が始まるところだったのでそのまま鑑賞。
監督の白石和彌監督の作品は『凶悪』と『日本で一番悪いやつら』を観ているくらい。
とはいえ、『日本で一番悪いやつら』は定期的に見返すくらい好き。
不正行為に溺れていく警官の半生を描くことで、何もしらない純粋な存在が経験を積んで変化していく様子のテンポの良さと切れ味に痺れた。
本作も『日本で一番悪いやつら』を連想させる、不良刑事が違法行為をものともせずガンガンと捜査を進めていく警察もの×ヤクザ抗争ものといったところ。
昭和最後の年(昭和63年)の広島を舞台に拮抗する二つの組と警察の抗争を描く。
主人公は違法捜査もいとわない中年刑事と新米エリート刑事。新米エリート刑事が違法捜査にはじめは反発を覚えつつも、徐々に共感していきやがてその役割を引き継いでいくというわりと王道の相棒ものストーリーを辿っていく。
『日本で一番悪いやつら』ではほとんどが一人の警官の視点で進んでいたけれど、今作は相棒もので、対立構造(中年刑事&新米刑事、警察&ヤクザ)がよりはっきりしている印象。
『アイアム・ア・ヒーロー』で物凄い特殊メイクを見せた藤原カクセイさんが参加されているということで、暴力描写が格段に進化している。特に後半のある人物の変わり果てた姿はかなりショッキング。あそこまで○○○をはっきり映した映画はあんまり記憶にない。
最近の暴力映画の傑作『アウトレイジ』シリーズは割とカラッと淡々と進んでいたけど、こちらは映画全体がじめじめとした陰鬱な雰囲気。その中で生命力をむき出しに暴れまくる登場人物たちは全員魅力的。
スタイリッシュさはないけど生命力に溢れた暴力映画はなんだか新しいのに懐かしい。
仕事で英語を使っている話
仕事で英語を使っている。
どれくらいかというと、一番激しい時は海外のメディアの人相手に1時間プレゼンと商品デモをやって質疑応答をひとりでやりきるくらいには使っている。
帰国子女とかではなく、高校までしか英語をちゃんと勉強したことはない。大学は別の言語を勉強していた。
留学は一応していたけど、留学先がケニアで勉強していたのもスワヒリ語だったので英語を使っていたとは言いづらい。どっちかというとケニアで学んだのは、5人乗りの車に15人で乗る方法とか、警官が笑顔で近づいてきたら財布だと思われているから警戒せよとかそういう類のこと。
前の職場で海外を相手にマーケティングをするので必然的というか、英語使えるなんか当たり前じゃん、という環境だった。
なので、困るわけですよ。
最初は、新人だからと甘やかされていたかもだけど、いざプレゼンでもやらせてみようかとリハーサルやったら一言も話せなかったんですね。本当に、単語もでてこなかった。
リハーサルやったのは本番の前日だったのですが、あまりにもできなさすぎて急遽、先輩にお手本でやってもらったものを動画で撮って、まじで一晩中15分のプレゼンを延々と真似し続けて脳みそに焼き付けて、なんとかお昼にプレゼン終えてそのまま次の日の朝まで寝ました。
pcが負荷をかけすぎると冷却のためのファンが回ってうるさいけど、人間の脳みそも音をたてて冷却しようとするんだとはじめて知りました。その音は本人にしか聞こえないのだけれど。
だけれど、不思議なもので一度そういうことを経験すると次からは全く怖くなくなるというか、余裕が出てくる。いまでは30分のプレゼンでも全体のストーリーとか、細部の表現とか話しながら考えられる。
プレゼン中も聞いている人の顔がはっきり見えて、「あ、この人くいついているからここは少し厚めに話そう」とか「あそこの人がちょっと興味失ってるから話しかけてみるか」とかができるようになっているわけです。
そういう「できなかったことができる」という経験てなにに関してもとても大切だと思うわけです。
いま、新規事業部で冗談抜きでなにもかにもひとりでやらなきゃいけなくても意外となんとかなっているのは一回、成功成功体験があるから。
未経験の分野でもなんでもやっていいし、やれば意外となんとかなる、この心持ちをずっと持っていたい
友達夫婦に投資の相談をされた話
大学時代から月一くらいで会っている友達夫婦から投資の相談を受けました。
彼・彼女が結婚したのは1年とちょっと前。結婚式を先月挙げたところ。
先々の人生計画をしていく中で避けられないのがお金の話。
共働きでふたりとも恐ろしく仕事ができるので、今は充分暮らしていけるものの先々の子供や家や介護を考えるとちょっと厳しい、貯金はしているけどとても足りそうにないがどうすればいいのかと相談されました。
上述の通り、仕事ができる二人なので先々にいくらくらい必要か見込み、時間軸に沿っていつごろどれくらいのお金が必要かシミュレーションしていました。
将来のリスク要因にやや物足りなさを感じたものの、計画に落としこんでいるところにちょっと感動。さすが。
貯蓄型保険からロボアドバイザー、果ては仮想通貨まで古いものから流行りものまで選択肢に上がっていたものの、それぞれのいいところしか見ていなかったりしたのでリスクとメリット(ないものもある)を簡単に説明。
あくまでも参考程度にと自分が今行っているインデックス投資の状況と実践するまでの考え方を教えてきました。
投資をするにあたって一番大事なのは行動力だと思うけれど、それと並んで大事なのは持続力だと思っています。なにかを持続するにはそれをするに足るだけの理屈を持っていないとつらい。そこが足りないと、インデックス投資をやっていると言いつつ、ちょっと下がった時に投げ売ったりと右往左往してしまう。
もちろん、個別株だったりFXだったり仮想通貨だったり、その人にとってベスト(と考える)投資方法はあると思うので、あくまで長期でインデックス投資をやる場合の話だけれど。
自分の場合は、極力時間をかけずに (いまは、1か月に何回かバランスが崩れていないか見る程度) 本業と複業と趣味に力を入れたいという事情があるので、色々見た結果いまの方法に落ち着いている。もちろん、それによって生じるリターンに納得して、リスクを引き受けている。
「ほかの投資方法と同様にインデックス投資を特段お勧めすることはしない。人によってベストの投資方法は違うから。アドバイスはできるけど決めるのは自分たちで話し合ってください。そこには賛成も反対もしない」と伝えました。
勉強好きの夫婦なので教材として何冊かの本とサイトを教えてその話はいったん終了。
もし、勉強の結果インデックス投資に来てくれたら仲間が増えてうれしい。
というわけで何の落ちもありませんが(まだ家庭内議論中らしい)この記事終わりです
【観劇記録】老人は天使ではない 『ワレワレのモロモロ』さいたまゴールド・シアター特別公演
岩井秀人さんが構成・演出を担当されたさいたまゴールド・シアター特別公演『ワレワレのモロモロ』に行ってきました。
『ワレワレのモロモロ』は出演者自身に起きたできごとを、本人が台本化し演じるというシリーズ。これまで
さいたまゴールド・シアターは蜷川幸雄さんが2006年に設立した55歳以上の劇団員からなる演劇集団です。その名前を聞いてはいたものの観るのは今回が初めて。
岩井秀人さんのファンなので観に行ったのですが、岩井さんの作品という感じはほとんどしなくて、どうしようもないほど俳優の人生が濃厚にあふれでて舞台上を埋め尽くす、そんな舞台でした。
基本的にそれぞれの役者が書いたり、語ったものを構成したりした短編集。
舞台上の全員が70歳以上だけということもあり、さすがに技術的(というか身体的に)にちょっと厳しい場面がある。ただ、そういったものもすべて舞台上に載せることで「演じる・表現する」ということに対する渇望が溢れていた。
「老人は天使ではない」とはこの集団を設立した蜷川さんの言葉。
若い俳優のように舞台上を駆け回ることはできないかもしれないけど、それでも積み重ねた人生を表現したいという思いがひしひしと伝わってくる。
「表現したいという欲望」がこんなに濃厚な舞台を観たことがない。
舞台芸術というものは俳優の体を無視することはできない、という当たり前のことを強く意識させられた2時間。
年を取ったから聖人君子になるわけではないけれど、聖人君子でなくても、かっこよくあることができることを見せつけられました