観劇記録 なかないで、毒きのこちゃん 「ぼうぼう」
10月6日19:30~の回を王子スタジオにて観劇。
石澤希代子さんと猪股和磨さんは好きでよく観に行くけれど、ほかの役者の方はおそらく初めて見る方ばかり。
グルーブ感みたいなものを感じるくらい勢いとテンポがあった。
単純にみなさん超がつくほど芸達者。
高校の卒業式前に校内アイドルグループがライブを行う場所を観に来て~、という話。
東京内ツアーとして、中野のRAFTやココキタを廻っているけれど確かに、設定と劇場がすごくあっているし、ほぼ音響や照明の変化がないのも話の筋が通っていて納得。
特に王子スタジオは外の音とか光が普通に入ってくるからそんな環境で観るこの作品は、「いま、ここでしか見られない」特別な感じがして鳥肌が立ちました(特に後半のシーン)。
何を言ってもネタバレになるので、いまはストーリーには触れません。
とりあえず、ストーリーも演出もなによりも役者陣のキレッキレの芝居も観て後悔しないこと間違いないので絶対行ったほうがいいです。
たまたまですが、私が観に行った回が8人しかお客さんいなくてこの役者陣でこの内容でこれはないだろ!とそこだけが唯一残念でした。
贅沢な時間ではあったものの満員の客席だからこそもっと光る作品だと思うので。。。
千秋楽チケットがあればリピーター割でもう一回行きます。
鑑賞記録『新感染』
『新感染』
小学生の頃に「バイオハザード3」をプレイして以来、ゾンビ物が映画、ゲーム、漫画を問わずに好きになっていた。
日常空間が非日常へと一気に変貌し、信頼していた仲間・友人・家族も一度感染すれば敵になる。ヒリヒリするような緊張感の下に繰り広げられる物語が好きなのです。
映画版のバイオハザードはシリーズを重ねていくにつれ、もはやギャグの領域に突入して有終の美(?)を飾るまでとりあえず、ゾンビ映画だからという理由で全作映画館で見るくらいには好きです。
「新感染」も約1年前に予告編を観たときからとにかく早く劇場で観たかった。輸入盤のソフトを買うという選択肢もあったがとにかく劇場で観たかった。
一向に日本公開の話が聞かれないまま、海外で絶賛の嵐という話だけが伝わってきてもどかしい思いをすること約1年。
「釜山行き(Train to Busan)」から「新感染」というなんだかよくわからない邦題になったのもなんのその、公開初日と時間をおいた昨日と2回観に行ってきました。
今年の韓国映画は「アシュラ」やら「コクソン」を筆頭に傑作揃い。
そんな中でもゾンビ映画というある程度フォーマットが存在するジャンルに韓国映画がどう挑むのかと思えば、王道ど真ん中を全力で突っ切ってきました。
高速鉄道の車内という限定空間でゾンビ(とは明確には言っていないのですが)の怖さを何倍にも引き出す設定の上手さもさることながら、ある意味使い古された話を物凄く丁寧に積み重ねることで古臭いストーリーを新鮮に語ることに成功していました。
ゾンビが北朝鮮の比喩だとか色々な読み解き方があると思いますが、とにかくエンタメとしての完成度がすごくて、意外とグロさもなく(個人の感想です)、だれが見ても一定程度以上には楽しめる作品に仕上がっていました。
「ワールドウォーZ」でほとんど唯一評価できるゾンビの数の恐怖を、うまくアップデートしており、ゾンビ映画史を正当に継承しつつあらたな古典と言えるくらい圧倒的に品格のある作品でした。
ハリウッドリメイクも決定したみたいですが、これをそのままハリウッドが焼き直しても原作以上の作品になるとは到底思えない。
とにかく正攻法で熱量高く、ゾンビ映画に挑み、見事に打ち勝った名作ではないでしょうか。
今年中にあと3回は劇場で観に行くことにします。
観劇記録 立ツ鳥会議 第4回公演「嘴細(はしぼそ)」
9月29日に高田馬場ラビネストで立ツ鳥会議 第4回公演「嘴細(はしぼそ)」を観劇。
立ツ鳥会議は2年前の活動再開公演をカムヰヤッセンの北川大輔さんがお薦めしていたのをtwitterで知り、阿佐ヶ谷まで観劇に行きました。
当時の印象はメンバーのほとんどがおそらく社会人の社会人劇団だと思いますが、他のプロで活動している劇団ではなかなか観られない「巧さ」を感じファンになりました。
劇団の紹介ページで自分たちで行っている通り、設定としては突飛ながらも地に足の着いた会話劇が特徴。活動再開公演の「ゆうちゃんの年」で一見何の問題もないけど息苦しい、生々しい舞台に惹かれ確か3日間の短い公演期間でしたが2回観劇に行ったのを覚えています。
第3回公演は予定が合わず観に行けませんでしたが、今回の「嘴細(はしぼそ)」もきっとあの嫌な感じが見られるとの期待を胸に早めに仕事を切り上げて高田馬場で観劇。
今回の第4回公演はやり取りに軽快さと笑いがより加わったことで、その根底にあるものの不気味さ・息苦しさがより際立つ舞台に仕上がっていました。
設定は、カラスが人間を襲う、それも執拗に「目」を狙ってくるようになり、10年がたった日本のどこかでの街。そんなSF的な要素はあくまで背景で、主に描かれるのはそこで暮らす幼馴染たちの日常。
少し異常なSF要素の中に、平凡な地方の日常を配置することでそこで生きる若者の閉塞感が際立ちます。
第2回の公演と比較すると明らかに演劇としての完成度が上がっている。
具体的には暗転を使った場面転換の上手さに感心しました。物語で扱っているテーマと手法が合致しているとても見事な演出だったと思います。
息苦しい中でも地に足をつけて前に進むことを肯定する真っ当な結論にはとても勇気づけられ、同じく社会人をやりながら演劇に携わるものとして、非常に刺激を受けました。
次回公演も楽しみにしています。
観劇記録 『白蟻の巣』@新国立劇場 小劇場
観劇記録
タイトル『白蟻の巣』
日時:2017/03/19
場所:新国立劇場 小劇場
三島由紀夫原作、谷賢一演出の『白蟻の巣』を観てきました。
行こう行こうと思いながらダラダラしていたらチケットが入手できず、当日もやや寝坊して新国立劇場に着いたのは10時10分ごろ。すでに当日券は完売していて、キャンセル待ちで整理番号1をゲットし何とか入れました。
途中15分の休憩を挟みながら約2時間20分。
行くきっかけは谷賢一さんが関わっているから。毎度毎度全く違ったものを圧倒的なレベルで見せてくれる、この人が関われば間違いないと最高に尊敬している演劇人です。
原作の戯曲は未読で、どうやらブラジルの農園での日系移民の話らしい、くらいで前情報はほぼなしで観に行きました。
広い劇場のはずなのに感じる圧迫感。役者陣も舞台美術、照明、音響まで徹底的に削ぎ落されて、最小限なのに物凄く広がりを見せる充実の舞台。花粉の季節ということもあり、開演直後は咳やくしゃみで結構騒がしかった客席ですが、物語が進んでいくにつれ自分も含めて集中力が一気に上がっていく様も含めてとても楽しめました。
劇中でいろんな爆弾を仕込んで積み上げていき、この後に起こるのであろう悲喜劇を予感させたうえでスパッと終わる。昨年の「テレーズとローラン」に負けず劣らず切れ味抜群の幕引きには本当にしびれた。
原作が発表されたのは昭和30年と60年近く前でありながら(観劇後のパンフレットで時代背景を知る)なんて現代的な作品と感じた。これは、60年前と現代の状況がやっぱりそんなに変わっていない、進歩していないってことなのだろうか。
この作品がシリーズ第一弾となる「かさなる視点 日本戯曲の力(30代演出家による近代演劇上演シリーズ)」がこの後、『城塞』『マリアの首』と続いていくので引き続き追いかけていきます。
資源のアフリカを知るためのおすすめ書籍「ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄」著:白戸圭一
アフリカの歴史を勉強していると、アフリカが「豊かな」大陸であると感じます。
もちろん、多くの人が思い浮かべるであろう野生動物も多くいますが今日書きたいのは「資源」のこと。
Aljazeera Aficaに下記の地図が載っていました。
この地図が示しているのはアフリカ大陸各国にある資源マップ。
金やダイヤモンドをはじめ現代生活に必須のレアメタルなどほとんどの国で何かしらの鉱物資源が豊富に採れることを示しています。
埋蔵されているこれらの鉱物だけを見ればアフリカは間違いなく「豊かな」大陸です。
しかし、その恩恵がそこで暮らす人々にいきわたることはほとんどありません。
恩恵どころか、資源をめぐるさまざまなプレーヤーの利害関係に巻き込まれ苦難の歴史を歩んできました。
1960年代の植民地からの独立を経ても状況は大きく変わらず(場合によっては悪化)今日に至っています。
現代の資源をめぐるアフリカの状況は多くの書籍が出ていますが、わかりやすいものを挙げると元朝日新聞社の白戸圭一さんが書いた「ルポ 資源大陸アフリカ -暴力が結ぶ貧困と繁栄」がお薦めです。
8年前の本なので少し情報が古い部分はありますが、実際に見聞きしたものを歴史的経緯を踏まえて解説しており非常にわかりやすく、入門書として最適です。
資源をめぐるアフリカを舞台にした状況を知るための入り口としてぜひ読んでみてください
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