巨人の肩に乗るのも大変なわけでありまして

世の流れに翻弄されがちなマーケターの日常に起こるあれこれ。演劇とかアフリカとか文房具とか映画とか珈琲とか本とかインデックス投資を愛しています。

【観劇記録】『野がも』アマヤドリ

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アマヤドリの『野がも』を花まる学習会王子小劇場で観てきた。

 

「アマヤドリ」は広田淳一さん率いる東京の劇団。2001年に前身となる「ひょっとこ乱舞」時代から数えればかなり長い期間活動されているし、これからも東京の演劇界の最前線で戦い続けるのだろう。

 

作風は集団で舞う、群舞なんかを交えつつも基本はストリートプレイ。

劇場に入った瞬間から、どこにも似ていない空間と作品。アマヤドリにしかアマヤドリの作品は作れないと思うばっきばきに尖った劇団だと思っている。

 

そんなアマヤドリが定期的に古典戯曲に挑戦しており、今回はイプセンの『野がも』に挑戦するとのこと。

『野がも』は何回か観たことがあったのだけれど、古典特有の言い回しや上演時間の長さなんかで集中できず面白い上演を観たことがなかった(不勉強なだけですが)。

 

話を乱暴に要約すると

グレーゲルスという青二才が「みんな正直でいれば、最初ちょっと辛いけど、そのあとみんなハッピーだよ!」と正義感と善意の押し売り強盗をやらかして、秘密はあるものの幸せに過ごしていた父、母、娘の3人家族を木っ端微塵に破壊してしまう

 

歴史に名を刻む天才作家がその才能を遺憾無く発揮して、丁寧に登場人物を不幸のどん底の向こう側までぶっ飛ばす戯曲。

 

今回のアマヤドリの『野がも』を観て、あの戯曲からこんな作品になるのかと驚いた。

上演時間170分もある会話劇なのだけれど話がだれないし、それぞれの登場人物の感情が強烈に感じることができる。

 

簡単に言うと「めちゃくちゃ面白かった」

 

古典の上演だと著名な演出家や役者の公演でもコスプレして台詞覚えた喋ってるだけじゃん!みたいに思うことも少なくない。

だけど、アマヤドリの『野がも』は130年前に書かれた戯曲なのに身に覚えがあって、自分の嫌なところを見せられているようなドロドロした感覚があった。

 

会話劇なのに舞台全体をダイナミックに行き来し、立体的で広々としているのに圧迫感がある空間が立ち上がっている。

 

人間の情けないところを容赦なく描きつつ、それを別に断罪なんかせずにいて、登場人物が人間になってそこにいるように感じられた。

古典を観るときは、なんだか小難しいことを考えながら観なければいけないという思いがあるのだけれど、アマヤドリの『野がも』は戯曲の面白さを役者の身体と演出を通じて存分に引き出していた。

この面白さって別に学がない自分のような人間でも(知識があればもっと面白いのだろうけど)感じられる。

戯曲に描かれる人間とその関係性を役者の身体と装置を使って立ち上げる、それをシンプルにものすごいレベルでやってのけるアマヤドリをこれからも追い続けます。

『野がも』は10月1日まで花まる学習会王子小劇場で上演しています。

 

(公演情報:公式webより)

amayadori.co.jp/archives/10805

『野がも』

作 ヘンリック・イプセン/翻訳 毛利三彌/上演台本・演出 広田淳一

 

《キャスト》

倉田大輔

渡邉圭介

中野智恵梨

相葉るか

一川幸恵

宮崎雄真

(以上、アマヤドリ)

 

東理紗(ピヨピヨレボリューション/東東東東東))

山森信太郎(髭亀鶴)

梅田洋輔

山拓

大原研二(DULL-COLORED POP)

 

《スタッフ》

 

作・演出   広田淳一 

舞台監督   都倉宏一郎

舞台美術   中村友美           

照明     三浦あさ子

照明操作   野口瑞貴

音響協力   [東京公演]田中亮大(Paddy Field)/[伊丹公演]あなみふみ

衣裳     村川あかり                                  

文芸助手   稲富裕介                               

宣伝美術   山代政一 

制作     桜かおり

演出助手   木村恵美子/野村春香/秋田満衣/石田麗/藤家矢麻刀

撮影     赤坂久美/bozzo

企画製作   アマヤドリ

主催     合同会社プランプル

提携     伊丹市立演劇ホール[伊丹公演]

協力     せんだい演劇工房10-BOX/花まる学習会王子小劇場/株式会社CRG/A-Team

       株式会社エヌウィード/株式会社リベラス/株式会社CRG/DULL-COLORED POP

       髭亀鶴/ピヨピヨレボリューション/スターダス・21

【鑑賞記録】『ザ・プレデター』人の命が特売セール状態

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ザ・プレデター』を仕事帰りに観てきた。

 

プレデター』は第1作の公開が1987年。まだ生まれていなかったのでリアルタイムで観てはいないのだけれど、小学生だった時に図書館で貸し出していた(凄いものを置いていてくれた図書館に感謝)のを家で鑑賞した時にあまりの衝撃にそれから小学校で布教を開始。週に一回はクラスで一番大きなテレビを持っている友達の家に集合し鑑賞会をやるという小学校時代を過ごした。

 

 

お話を雑に書くと、高度に進化した地球外生命体が儀式だったり観光で地球にやってきてお手軽に人間を狩る。姿を消せる光学迷彩だったり、自動照準で破壊力抜群のバズーカを持っているかと思えば手裏剣や剣(みたいなもの)で肉弾戦を繰り広げる。頭がいいんだか悪いんだかさっぱりわからない。

今考えると、どうかしている設定だけれども小学生にとっては夢に出てくるくらい恐ろしくてかっこよかった。そんな地球外生命体をボコボコにしてしまうボディビルチャンピオンにさらに夢中になるのだけれど、それはまた別のお話。

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魅了されて早20年近く

 

それから時が流れてまさかアラサーになってまでプレデターとの付き合いが続くとは当時の自分は思いもしなかっただろう。

第1作がヒットした後、続編だったりエイリアンとのコラボ作品が作られたり漫画化されたりとプレデターは大活躍。

ただ、恐怖の大部分は「正体がわからない」ことに大きく起因すると思っていて、1作目で恐怖の対象とされていてもそれ以降は正体がバレているのでどうしても恐怖の対象になりずらい。

 

日本でいうと『リング』で貞子が日本中を恐怖に叩き込んだけれど最近では3Dで本当に飛び出してきたり、ハロウィンでのお手軽コスプレ対象にされたり、ほかの幽霊(?)である伽倻子と合体させられたり、アプリにされたりすっかりキャラ化してしまっているのと似ている。

 

ザ・プレデター』では監督のシェーン・ブラックが「プレデター本来の恐ろしさを描きたい」とインタビューで語っていたし、予告編でも必死に「真面目なアクション映画」風な描き方をしていた。

 

シェーン・ブラックの他の映画を観ていたのに「どんな恐ろしい映画が観られるのか」と胸をときめかせてしまっていた。

 

恐怖を期待していったら、爆笑の連続の俺たちが自慢されたいザ・アメリカ的な景気のいい映画に仕上がっていました。

 

登場人物全員が(プレデター含め)信じられないほど仕事が雑だし、いいやつでした。

突っ込んだりイライラしたら負けになるという構造で真面目に観ると損をしますが、ポップコーンでも頬張りながら観れば映画館を出る時にはきっと体調が良くなります(個人の感想)。

 

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割と仕事が雑なプレデターさん



 

人の命が羽根のように軽くて苦悩とか葛藤という言葉をどこかに置き忘れたハイな物語が展開。完全武装の正体不明の異星人に仲間を殺されたりしたら普通怒ったり恐怖に駆られたりすると思うのですが、ザ・アメリカ人の登場人物は下ネタを叫びながらみんなでバスで追いかけるし、バスを破壊されたら無駄にかっこいいバイクでさらにハイテンションで追いかける。宇宙船のエンジンに笑顔で突っ込むわ、敵であるプレデターも超ハイテクな武器を持っているわりには素手でボコボコにしたり、わざわざ飼い「犬」で追い詰めたり、敵も味方も漢気に溢れる活躍を見せる。

 

秘密組織はじめとした登場人物たちの頭の悪さだったり、プレデターが実は地球を侵略しようとしていたとか、後付けにもほどがある設定だったり欠点をあげればきりがない。

この作品に激怒している人が結構な割合でいるみたいだけれどそれも納得。

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色々な問題を抱えつつひとりの子供のために奮闘するナイスガイズ

 

だけれども、なにかを守ろうと父親が必死になって成長する姿にほろりとし、近年稀に見る人の命の軽さと軽快なノリに仕事のストレスから解放してもらった自分からすれば大満足の一作でした。

 

あのラストから次作につながると次は完全にコメディ映画に分類されそう(観てみたくはある)

 

 

 

 

 

 

 

【鑑賞記録】『累』を観たら主演の2人が素晴らしすぎてぶっ飛ばされた

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土屋太鳳・芳根京子が主演の映画『累』を観てきた。

原作の漫画は未読だったし、予告編を観た時は微妙に思ってスルーする気だったのだけれど↓の動画をたまたま見て引っかかるものを感じたので行ってきました。

 

youtu.be

 

結論から言うと、すいません。舐めてました、ぶっ飛ばされました。

 

予告編で感じた、ちょっと微妙かも知れない、と思ったところは割と当たっていてやたらと主人公が叫んだり出てくる登場人物があまりにも記号的だったりする(出てくる演出家とか悪い意味で漫画的だった)。ただ、そんなマイナスポイントをプラスポイントに変えてしまうくらい土屋太鳳・芳根京子コンビの演技が凄まじかった。

 

顔に醜い傷を負った天才的な演技力を持つ累と圧倒的な美貌を持つが凡庸な演技力しかない女優ニナの2人が主人公。

そんな2人が不思議な力を持つ口紅の力で顔を入れ替えることができるようになり、累の演技力とニナの美貌で名声を高めていくのだが、というお話。

 

よく漫画や小説では「聞くと誰もが心を奪われてしまう音楽」とか本作のような「誰もが息をのむ圧巻の演技」という表現が出てくる。それを実写化しようとするとまぁ大変だろうし、実際山のように微妙な作品が積み重ねられてきた歴史がある。

ただ、本作の「誰もが息を飲んでしまう演技」を実際に表現できているのだからこれだけで歴史的傑作と呼んでいいのではないか。

最初は焦がれていた男に認められるという動機で累を利用しようとしたニナだけれど、他人から賞賛されることの快感を覚えた累が徐々に女優としての業を深めていき、逆にニナが利用されていくという構図が凄くコンパクトながら的確に描けていた。

ニナが特定の誰か(ここでは恋していた若手演出家)に受け入れられることを目指していたのに対し、累は特定の誰かに認められることを志向してはいない、それ故にその欲望には終わりがない。

満たされることのない欲望を満たすため、その技を磨いていった結果のクライマックスの土屋太鳳の美しさと恐ろしさ。あの瞬間を残せただけでこの映画は後世に語り継がれるべき作品。

芳根京子さんも完全に別人格が宿っているようにしか見えない。あれだけの演技の豊かさを見せられたらもう褒めるしかない。

 

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ただ、不満も割とある。以下、箇条書き

◯顔の傷はあくまで醜さと累の劣等感の象徴としてあるのであれくらいのバランスでいいと思うのだけれど、映画全体の画が抽象的にやりたいのか現代的にやりたいのかどっちつかずになっている。これくらい話の強度があれば思いっきり時代性を排除してしまえばよかった。

◯シーンによって、なんでそんな間抜けに見える配置にした、とは中途半端なところから撮ってるよなぁ、とか演出面で単純に上手くない箇所が多かったのが残念。主演2人の熱演がなければ凡作になっていたはず

浅野忠信さん演じるマネージャーが累の母親の話をし出すタイミングが脈絡がないし、彼がやりたいことはわかるけど、わりとスタンスがブレて右往左往している。コントロールしていると思っていた累とニナにいつのまにか驚愕してしまうとかの描写があれば良かったのだけれど、自由奔放なふたりにバタバタする人、くらいの印象になってしまったのが残念。

◯『サロメ』の話は確かにストーリーを把握していた方がその後の展開の理解の助けにはなるのだけれど、急にバラエティーみたいなテイストになって笑ってしまった。もう少しうまく説明する方法あっただろうに。。。

 

まとめると、映画全体として凡作になる恐れがあったところを土屋太鳳と芳根京子という2人の女優が救うどころかすごいところまで作品のレベルを持っていった、

 

「映画としてはつまらないけど役者は頑張ってた」っていう評をよく聞くけど、本当にいい役者は作品を救うことがあるんだな」と気付かされた作品。

 

原作も読んで再度観に行きます

 

kasane-movie.jp

 

【鑑賞記録】『MEG ザ・モンスター』

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日本公開に先駆けて出張先のベルリンで観てきました。

(↓)映画を見るまでの話

 

スピルバーグ監督の『ジョーズ』をきっかけに深いんだか浅いんだかいまいちわからないサメ映画の世界に足を突っ込んでダラダラと見続けてはや幾年月。

 

サメ映画と言えば、「サメ」という素材をいかに料理するかのアイデア勝負の世界。

ここ数年の作品だともろに『進撃の巨人』そのまんまの巨人(設定ではロボット)と闘ったり、核爆弾になったり、幽霊になったり混沌そのものだった。

人間食べ食べカエルさんのまとめ:

matome.naver.jp

金字塔である『ジョーズ』をはじめ基本的にサメ映画と言えば一部の作品を除き(『ディープ・ブルー』とか)低予算で作られることが多かった。そんなカオス状態のサメ映画界でついに巨額の予算を突っ込み、主演にステイサムを迎えるという正気とは思えない映画が誕生。

 

サメ映画としては破格の130億円を投じ、体長20m級の巨大ザメ・メガロドンと最近、人間を超越気味のステイサムが正面からガチンコ勝負するという狂気の沙汰みたいな映画を作った制作陣を心の底から尊敬します。

 

少しでも早く観たいという思いから出張先でいろんな誘いを断っていそいそとシネコンまで行ったというのは先に書いた通り。ベルリンのお客さんと一緒に観れたのも環境としては最高だった。

劇中では登場人物がいわゆる死亡フラグをこれでもかと立てた後に予想の斜め上を行く最期を迎えるのだけれど、死亡フラグシーンで「これは・・・来るぞ・・・」と観客がざわざわしながら椅子に座りなおしたりする。その後、案の定メガロドンに丸呑みされたりすると劇場が揺れんばかりの爆笑が起きていた。日本ではなかなかできないであろう体験。

特に、ステイサムが台詞を決めるたびにスクリーンに向かって親指を立てる斜め前のおっちゃんが最高だった。

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映画本編とは関係ないけど、いちいち素敵なステイサム。こんな大人になりたい。




 

内容は最後のビーチシーンの阿鼻叫喚が『ピラニア3D』のほうが制作陣のイケてる若者たちに対する悪意と呪詛がスクリーンからあふれ出ていてそっちのほうが好みだったなぁ、とかヒロインと前妻がいるけど、どっちか一方だけでよかったのではとか言いたいことがないわけではないけれど、ステイサム×サメ映画の前提として100点なので問題なし。

 

とにかく、これほど映画館で観るべき映画も珍しいので(特典映像が見たいのでブルーレイは買う)あと2回は行く。

 

 

 

愛聴しているラジオ番組『アトロク』のサメ映画特集。コンパクトにサメ映画の歴史を学べる

www.tbsradio.jp

【駄話】ベルリンで『MEG ザ・モンスター』を観てきた話

あまりにも楽しみで日本公開に先駆けて『MEG ザ・モンスター』を出張先のベルリンで観てきました。

 

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2年くらい前に「ステイサムと巨大ザメが闘う映画が製作中」という耳を疑う情報を聞いて以来心待ちにしていた作品。

長期出張の疲れもステイサムvsサメを観るためならなんのその、ということで終業後に飲み会も全て断りいそいそと外出。

 

ホテルの近くにあった“CineStar”というシネコン。ヨーロッパでは最大級の規模のグループらしい。

3Dの上映だったので料金は12ユーロ(1500円くらい)で思っていたよりちょっと高め。

他に上映してたのは『イコライザー2』とか『ボーダーライン2(現代:Sicario:Day of the Soldado)』で日本公開より1〜2ヶ月早い。

 

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(映画館の外観)

 

映画の前にびっくりしたこと。

日本の映画館でも映画の予告編でもないCMが流れるのはシネコンならよくある。CMが流れるたびに「この企業の商品は1週間買わん」と不買運動期間が設定されるくらいイライラさせられるのだけれどこのシネコンは凄かった。日本なら長くても20分程度のCM時間がこのシネコンだと40分あった。

最初はドイツのCMが珍しかったけれど流石に40分は長い。。。

しかも、途中でお菓子のCMが流れた後にその商品の静止画のまま場内が3分くらい明るくなった(ロビーで売っているから買ってきてもいいよ!的なことかと思われる)。

周りのお客さんも最初は大人しかったけど徐々に喋り始めた。

 

40分のCMのあといよいよ本編が始まったけどドイツ語の字幕はなかった、ステイサムの英語はかなり難しいのにジョークのセリフでしっかり笑いが起きていたから、みんなものすごく英語のレベルが高い。どこ行ってもだいたい英語が通じたからベルリンすごい。まぁ、映画の内容的には観ていればいいすべてわかるので問題なし。

 

日本でも日本語字幕とか日本版ポスターとか作らずに、洋画を公開時期のスピード優先でそのまんま流してくれるとことかが1館くらいあればいい、と思った。

 

ベルリンは映画館だけでなくそこかしこに劇場があって、しかもしっかりお客さんがぱんぱんに入っている。勤め人と思われる人も多くいて上映・上演前に夕方から近場で軽く飲んだり食事したりととにかく文化的で羨ましい。チケット代もいろいろ使えばかなり安く観られる(オペラが15ユーロとか)ので舞台とか映画に触れるハードルがそうとう低い。

 

そんな文化的な環境で観た『MEGザ・モンスター』は最高だったのだけれど感想はまた後日。

 

 

 

 

 

 

 

 

【鑑賞記録】新たな道を見つけられたのか?『ジュラシック・ワールド 炎の王国』

 『ジュラシック・ワールド 炎の王国』

 

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友達とのご飯の後、深夜12時半のレイトショーで観てきました。

品川の映画館なので普段のレイトショーでは会社帰りの勤め人が多いけど、大学生くらいの人たちもちらほら。

 

シリーズの第一作である『ジュラシック・パーク』に度肝を抜かれた映画少年はたぶん世界中にいっぱいいるのだろう。自分もその一人。

監督のスティーブン・スピルバーグは気のいいおじいさんに見えるけど、夢とおんなじくらいトラウマを全世界に広げたのではないだろうか。サメ映画の(というかすべての映画の)金字塔『ジョーズ』の影響で大人になった今も海で泳ぐことにものすごく恐怖感がある。

ジュラシック・パーク』も夢あふれる恐竜との触れ合い&なかなかのトラウマ描写がいっぱい。

 

 

3の失敗で色々言われたこのシリーズも第4作目の『ジュラシック・ワールド』で見事に息を吹き返した。

今回の『ジュラシック・ワールド 炎の王国』は『ジュラシックシリーズ』の第5作目という位置づけ。

 

生命倫理などいろんなテーマで語られることの多いシリーズながら、基本的には「俺たちが観たい、観たことない映像」を見せてくれればそれで充分と思っています。

前回の『ジュラシック・ワールド』で、心温まる恐竜との交流を描いたあとに悪意たっぷりの「オーバーキルベビーシッター」描写をはじめ、痺れる画が満載。

 

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翼竜に連れ去られ、ボコボコニされて水責めにされた上にモササウルスにまとめ食いされるベビーシッター

 

さらに物語の中心に、みんな大好きクリス・プラットを配置したことで物凄くバランスの取れたシンプルなアクション映画に仕上がっていた。

 

新三部作の2作目にあたる今回の『炎の王国』ではそのバランスの良さをあえて崩しにいって、そこで評価が割れている様子。

 

今回は前回のアクション映画要素を抑えつつ思いっきりホラー映画に寄せている。予告編では舞台は同じで前回の延長線上の脱出劇になるのかと思いきや、アクション要素全開の脱出劇はわりと前半でさくっと終わり、後半は屋敷を舞台にしたホラー映画へとまったくテイストが変わっていた。

 

前半と後半でガラッと舞台がかわるのは第二作の『ロスト・ワールド』でやっていたけど、ジャンルまで変えるのにはびっくりした。

 

後半はまるで、おとぎ話のようだった。

 

このおとぎ話パート、たしかによく作られているし新しい映像表現も色々見られてここだけ観れば楽しいのだけれど、前半の島からの脱出シーンからの移行にうまくいっていない印象を受ける。

 

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ある事情を抱えた少女が話の中心になる後半。悪くはないんだけれど・・・

 

後半で話の中心になる少女を紹介するために、前半の脱出パートで時々、少女の話が挟み込まれるのだけど問題も緊急度も場所も全く違う話を交互に見せられるため微妙にテンポが気持ち悪い。

 

後半も結構な大問題が起こっているのにわりと少女と新登場の遺伝子操作恐竜のテーマありきで話が進むのでアクションのハラハラドキドキが結構な頻度で停滞する。そして、わりとお決まりの悪者描写と悪い癖にだいぶ頭が悪い敵の行動にイライラしてしまう。

後半の舞台を屋敷に絞ったのはいいとして関係者含めて微妙にスケール感が小さくなってしまってみたことのない広大な世界が広がるはずのジュラシックシリーズと喰い合わせが悪いというところもありそう。

 

そしてこのテーマってわりと似たようなこと前作でやりませんでしたっけ?という疑問が湧く。

 

前作のジュラシック・ワールドを観てファンになった人にとっては違うものを見せられたと思ってしまうかも(観たいものと違うものを見せてくれること自体はまったく悪くない)

 

 

個人的には悪意全開で悪いやつを徹底的にこらしめる(もはやそういうレベルじゃないけど)描写だったり、ラプトル(ブルー)との交流だったり、火山で崩壊する島の超弩級の脱出劇だったり充分満足。

 

次作(新三部作の最後)で今回のラストを回収するのだろうけど、なんだかんだで普通の生物である恐竜が人類を脅かせるとは思えない。「共存の道を探る~」という展開も割とありきたりな気がするので、どう決着をつけるのか期待している

 

ラストでちらっと映る脱走して各地に散って行った恐竜。ビーチを襲うモササウルスがとか感動のあまり泣いてしまう描写があったけど、もうすぐもっとでかいサメがビーチを襲う映画が公開されるんだよなぁ。。。。

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体長20mを超えるサメvs人間を超えたステイサムの狂った映画

 

 

【観劇記録】猟奇殺人と女子高生と。 『ツヤマジケン』(日本のラジオ)

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「日本のラジオ」は「さわやかな惨劇」を掲げる劇団。

 

観劇のきっかけは知り合いが出演していることと、主催の屋代さんの演出をとあるワークショップで拝見して作風に興味を持ったこと。

ワークショップの中ででた「すべての戯曲を暗く演出したい」との宣言(早々に撤回されたりもしますが)に痺れて、彼の作る作品を是非観たいと全ての仕事をほっぽり出してこまばアゴラに向かいました。

 

今回上演された『ツヤマジケン』は初演は2014年に上演され、佐藤佐吉演劇賞2014にて最優秀脚本賞・優秀作品賞・優秀助演女優賞を受賞するなど評判が高く、今回4年ぶりの再演となった。実際に起きた津山事件を下敷きにしつつ、とある女子校の演劇部の合宿で起きる惨劇を描いた作品。

 

女子高生が多数(10人)出てくるにもかかわらず、華やかな雰囲気は一切なし。終始、咳をするのもためらわれるほどの緊張感が舞台上を漂うにも関わらず要所要所で笑いが起きるという不思議な空間。

 

舞台上には平台や照明機材が雑然と置かれている。照明の変化はほとんどなく、音響もなし。蛍光灯のようなのっぺりした明かりが居心地の悪さを増す。

 

10人の女優陣による、誰が一番嫌われるかコンテストでもやっているのかと思うほど嫌な奴ばっかり。セリフはもちろん仕草ひとつひとつに神経を逆撫でされて絶妙にイラっとさせられる(褒めてます)。男性陣は津山事件で有名な、頭に懐中電灯に日本刀と猟銃を持った異様な格好が現在の小劇場界で一番似合うであろう安東さん(失礼)を始め、こちらも最低で最高。

 

俳優の配置や体の使い方といった演出で、もっと見やすくなったかもしれないけど多分そこには興味がないと思うのでそこは無視。

 

とにかく登場人物ひとりひとり合計13人の嫌なところを徹底的に描いた屋代さんの手腕に脱帽。当日パンフレットにも載っている津山事件を起こした犯人の遺書の抜粋「今度は強い強い人に生まれてこよう、今度は幸福に生まれてこよう」猟奇殺人を起こすわけでもないけれど、どうしようもない現実に対する諦めと怒りが胸をうつ。

 

あと、何よりも素晴らしいのは平日夜の回が20時開演というところ。こまばアゴラという劇場は最寄駅が駒場東大前という絶妙に時間がかかる点を差し引いても会社勤めの身からすると時間の余裕があってありがたい。

たまに他の舞台で19時開演とかあると就業直後に仕事で何かあるともうほぼアウト。

やる方は大変だろうし、上演時間が120分とかだと難しいのかもしれないけど(『ツヤマジケン』は90分ちょっと)他の劇団も取り入れてほしい平日20時開演。

 

ド派手なことをやらなくても最小限の装置と役者と演出・脚本の力でいくらでも面白く・配慮の行き届いた公演ができることを証明した『ツヤマジケン』。根拠はないけどたぶん、また再演されるんだろうという気がしている。最低すぎて最高の観劇体験でした。

 

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舞台写真 公式Twitterより



 

 

日本のラジオ公式web 

日本のラジオ

 

公演概要(公式webより抜粋)

「ツヤマジケン」

2018年6月5日(火)~10日(日)
こまばアゴラ劇場

※※※

今度は強い強い人に生まれてこよう、今度は幸福に生まれてこよう。

日本猟奇事件史のトップランナー
津山三十人殺し」を借景に
女子高演劇部の夏合宿を舞台にして、
少女たちの友情、鬱屈、愛、純真を
沈鬱かつユーモラスな世界観で描いた
佐藤佐吉演劇賞最優秀脚本賞受賞の
「さわやかな惨劇」再び

※※※

【作・演出】
屋代秀樹

【キャスト】
安東信助(日本のラジオ)
田中渚(日本のラジオ)

赤猫座ちこ(牡丹茶房)
久保瑠衣香(W.FOXX)
沈ゆうこ(アガリスクエンターテイメント)
瀬戸ゆりか
鶴田理紗(白昼夢)
土橋美月
永田佑衣
藤本紗也香
古田希美恵

大塚尚吾
野田慈伸(桃尻犬)

 

【上演時間】
90分予定

【上演スケジュール】

6月05日(火)20時開演☆
6月06日(水)20時開演☆
6月07日(木)14時開演☆/20時開演
6月08日(金)20時開演
6月09日(土)14時開演/18時開演
6月10日(日)14時開演/18時開演